不易流行

パーソナル・サービスによる経営支援(要約版)

2016年12月12日

 

 能力は外部から購入できない

  人間の能力は外部から購入することはできない。また、一挙に高めることもできない。一夜漬けの努力で能力を
 高めることは不可能である。一夜漬けは、その場限りの努力であり、自分の実力に繋がらない。
  能力を高めるためには努力が必要である。が、楽しい努力なら継続できる。楽しく日々コツコツと少しずつ積み
 上げていく努力でも、能力は高められる。
  楽しい努力の継続を可能にするのが「パーソナル」である。

 2つの選択肢

  われわれの人生には「2つのメニュー(選択肢)」が準備されている。 
  「コモディティのメニュー」と「パーソナルのメニュー」だ。どちらを選択するかは、本人の意志で決まる。

  「コモディティのメニュー」は惰性のメニューである。いかなる場合も努力を最小限に止め、「楽な意思決定」を
 優先するメニューである。目先は楽でいいが、努力しなければ成長は難しい。何の変哲もない人生で生涯を終える
 ことになる。

  「パーソナルのメニュー」とは、自分のパーソナルを貫くメニューである。
  パーソナルとは、持って生まれた独自の価値観である。どんなことに最も価値を感じ、何に最も心を動かされる
 か。心を動かされものは、モチベーションを高める努力をしなくても無意識に高まっていく。

  顔や外見は自分の意思で選んだものではない。持って生まれたものだ。気に入らなくても取り換えるわけにはい
 かない。同じように、人間には目に見えないが、持って生まれた「もの」がある。それが「パーソナル」だ。顔や外見
 と同じように自分の意思で変えることができない。また、顔や外見が1人ひとり異なるように、パーソナルも1人
 ひとり違う。100人いれば100のパーソナルがある。

  われわれはみんな独自のパーソナルを持っている。ただ、内面に存在するので気付いている人は少ない。
  「好きで好きでたまらないもの」、「時間の経過を忘れて何時間でも取り組めるもの」、「いつも前向きで取り組める
 もの」、「どんな状況にあっても心が奪われエネルギーが湧いてくるもの」、「将来実現したいという願望が著しく強
 いもの」など、これがパーソナルだと私は認識している。

  パーソナルは目に見えないから見逃しがちであるが、天から授かった(内面に存在する)宝物である。生まれたと
 きは原石であるが、磨けば「宝石」になる宝物である。
  ただ、天から授かった宝物(原石)も、その存在に気付かなければ、原石のままで輝くことはない。自分はどんな
 原石を所持しているか、誰も教えてくれない。自分で発見しなければならない。繰り返すが、発見できなければ、
 宝物も眠ったままで生涯を終えることになる。

  人間は日常業務に追われていると、惰性に流されていることに気付かない。仕事に追われ時間に流され、あるい
 は意味のない夜更かしなどで、自分を振り返る時間を日々持っていないと、パーソナルの存在すら気付かない。
  このような状態に陥ってしまうと、いつも同じ発想、同じ話題に終始し、殻を破れず、コモディティから脱皮で
 きず、惨めな人生を終えることになる。

 パーソナルな生き方

  パーソナルな生き方とは、天から授かった唯一無二の自分のパーソナルをフルに発揮して生きる生き方である。持
 って生まれた原石は1つしかないので、好むと好まざるとに関わらず「1つのこと」に集中する生き方になる。独自性
 を貫く生き方になる。
  あれもこれも手掛ける生き方もあるが、エネルギーが分散するので真の力を発揮することは難しい。すべてが中
 途半端な結果に終わる。(図1)

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  遠からず個人も企業も「一強九弱」の時代が到来する。  
  「一強」の歩みを続けるか、「九弱」で衰退または自滅の道を余儀なくされるか。その成否を決めるのがパーソナル
 である。
  パーソナルという微動だにしない「軸」を発見していれば、目先の変化に一喜一憂することなく、一強の道を堂々
 と胸を張って歩むことができる。

 パーソナルを磨く

  パーソナルを磨けば宝石になる。磨き続けると、さらに光り輝く。内面が光れば人間は魅力的になっていく。
  登山が好きでたまらない人なら、登山だけで満足するのではなく、登山の感動を「登山日記」に記し、登山に関連
 する書物(専門書)を毎日1時間読むことを習慣にする。好きなことはすぐ習慣になる。日々の1時間によって、今ま
 で気付かなかった登山の魅力に取りつかれるだろう。5年間継続すれば、登山の知識が相当蓄積され、さらに10年
 も経過すれば「登山の道」の研究に勤しんでいるかも知れない。

  パーソナルを磨く努力は「成長」を促す。知識の修得だけではなく人間的な成長を促す。
  通常、専門知識を習得するためには、長い長いトンネルを通り抜ける努力をしなければならない。1万時間が必
 要だとも言われている。しかし、パーソナルを磨き始めると、努力には「苦しい努力」と「楽しい努力」が存在してい
 ることに気付く。パーソナルを磨く努力は「楽しい努力」だ。長いトンネルも苦にならない。しかも学習のスピード
 は、どんどん加速されていく。楽しさの上に新しい楽しさが積み上げられ、新しい知識の上に次の知識が築かれ加
 速していくからだ。

  こうして築かれた一分野の専門知識(土台)は、他のフィールドの土台にもなる。登山という見識からマネジメン
 トを見つめることができる。そこには、マネジメントの枠組みを超えた新しい発想がある。
  パーソナル知識として築かれた「土台」は、さまざまなジャンルに活用できる。それだけではない。築かれた土台
 は宝石として輝き、人間的魅力になって信頼関係構築の「礎」になっていく。

 経営支援の原点

  経営は、経営者のマネジメントの知識で行われているのではない。経営者という「人間」が行っている。マネジメ
 ントは(経営者の)経営を支える1つのツール(手段)に過ぎない。
  経営支援は、まずこの基本認識からスタートしなければならない。この(当たり前の)原点を見失って技術論に走
 ると、経営支援の成果をあげることが難しくなる。

  経営支援は、経営者の本音を引き出し、本音で語り合うこと。経営者が口に出したくない「悩み」まで引き出さな
 いと、経営の実態は見えてこない。
  つまり、経営支援により必要なのは、経営者の本音を引き出す能力と信頼関係の構築である。具体的には、
 (図2)の①②の「経営支援の入口」をクリアできなければ③に到達することはできない。
  経営実態を正直に語るということは、自分の弱みも含めすべてをさらけ出すことになる。自分の弱みは信頼でき
 る相手にしか話さない。相手(経営者)の立場に立って考えれば、誰でも理解できることだ。
  信頼関係を構築できない経営支援では、顧客満足度の低い形式的な支援で終了し、経営者のニーズを満たすこと
 ができない中途半端な結果に終わる。

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 経営者の心を動かす

  経営者の心を掴めば、心を動かすことができる。心が動けば心は開く。そして、本音で語り始める。
  いかに人(経営者)にフォーカスするか。信頼関係構築のカギは、この一点にかかっているといっても過言では
 い。
  経営支援のあり方は、対象が小規模事業者であっても、中小・中堅企業であっても、その本質は変わらない。
  経営者の心を動かすのは支援者のパーソナルである。微動だにしない人間の
「軸」であり、内面から発せられた
 人間的魅力、さらにこれらに裏打ちされた「やる気」が心を動かす。
  これらは、パーソナルを磨くプロセスで醸成されていく。そして、人間関係構築の「礎」になる。

  繰り返す。
  本音を引き出す原点は「人vs人」である。「人vs知識」ではない。経営支援にマネジメントの知識は必要であるが、
 絶対条件ではない。
  自分のパーソナルを発見し、磨いていけば、経営者のパーソナルを上回るまでに多くの時間を要しない。経営者
 から頼られる立場になる。
  人生も一変する。今まで見えなかったものが見えてくる。新しい人生の楽しさも実感できる。仕事を俯瞰する力
 も高まり、今までとは異質の発想が浮かんでくるようになる。

  経営は「実学」と言われる。机上でマネジメントを学習しても、すぐ役立たない。企業の実態は百社百様であり、
 知識の応用は相当の訓練が求められるからである。自分のパーソナルの知識でさまざまな経営支援と対峙し、不足
 しているマネジメントの知識は机上で補っていく。現場に直面し、明確な問題意識を持った学習は吸収力が早く、
 かつ、忘れない。経営支援能力もどんどん高まっていく。
  伴走型経営支援のあり方を云々する前に、この支援の原点の再確認が必要である。経営支援はマネジメントの知
 識が必要であるという固定観念を払拭しないと、新たな第一歩を踏み出すのは難しいだろう。

  人生と仕事は(車の)両輪である。両輪を支える軸がパーソナルだ。一度立ち止まり、自分のパーソナルを改めて
 見極める。パーソナルの発見は新しいエネルギーになり、磨きたい、磨かなければならないという流れが自然に出
 来上がる。そして、パーソナルを「軸」に両輪(人生と仕事)が回転を始める。
  楽しい努力は止めることができない。
  成長が加速し、仕事の質が限りなく高まっていることに気付き、その気付きが新しいエネルギーとなって次の努
 力に繋がり、循環していくからだ。

 

 

 

 

 

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