田中義郎の経営教室

「一強九弱」時代の到来

2016年11月21日

 今月から「田中義郎の経営教室」をスタートさせました。中小企業 (小規模企業を含む) の経営に役立つ情報をさまざまな角度からお届けす
 る所存です。ご愛読賜れば幸いです。
 第1回は「一強九弱時代の到来」です。

 一強九弱時代の到来

  「一強九弱」の時代がもうそこにまで来ている。
  一強九弱とは、持続的な成長・発展を続ける中小企業が約10%、残り90%が衰退または自滅の道をたどり、中小
 企業の減少、二極化が進んでいく時代のことである。

  10数年前から続いている企業数減少の流れも含め、今のところ歯止めをかける特効薬は見当たらない。
  現状が継続されるなら、一握りの繁栄企業と多数の停滞企業という構図になる可能性が強く、一強九弱への流れ
 は今後も止まらないだろう。

  かつての地方におけるシャッター商店街に似た状況が、多数の業種・業態に波及しないか不安が募るのである。

 一強九弱の真因 

  企業の成長・発展は、まず売上ありきではない。売上よりもっと大切なものがある。それは土台を固めること。
 大樹も根が脆弱であれば
強風が吹けば倒れる。この「自然の法則」は企業にも当てはまる。
  自然の法則には誰も逆らうことができない。この当たり前のことが、多くの中小企業において軽視されてきた。
 土台を考慮に入れず売上拡大に走る。量の確保を優先する企業は、遅からず九弱に追い込まれていくだろう。
  長時間仕事をすると生産量は増える。売上も伸びるかも知れないが、これは目先の成果である。量を拡大しても
 コモディティから脱皮できなけれ
ば経営の質は変わらない。今までの経営が継続されるだけである。

  「量」から「質」への転換を図り、競合と異なる「結果」を出す。成り行きから脱皮する。その実現には、一度立ち止
 まり、時代の流れを感じながら、自社
の未来を見つめ直す時間が必要である。

 土台を固める

   いかにして経営の質を高めるのか。何をおいても土台を固めなければならない。
  土台はあらゆる活動の原点である。「健康」が人間の活動の根源であるのと同じように、企業においても、まず「土
 台」ありきなのだ。土台を盤石にし
なければ、健康な企業を維持することは難しい。
  企業の実力と土台との関係を示したのが、次の資料である。

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  「実力B」は、規模拡大を最優先に考える企業である。土台はそのままにして売上拡大を最優先に考える企業であ
 る。土台を上回る売り上げの確保は短期的には可能であるが、2~3年もすればメッキがはげる。目先の業務に追
 われ、息切れするときが必ず来るからである。
  日々追われた毎日を過ごすと心の余裕を失い、目先のことしか見えなくなり、その場しのぎの経営に陥る。社員
 の不満が募り、モチベーションは下降の一途をたどっていく。
  「実力B」から脱皮できない企業は、遅かれ早かれ「九弱」の仲間入りを余儀なくされるだろう。

  「実力A」は、目先の結果より土台の構築を優先する企業である。
  土台は通常、経営資源(人・もの・カネ・情報)によって構築されるが、中小企業の場合、人(経営者・社員)によっ
 て決まると言っても過言ではない。資本集約型企業にあっても同様である。
  新しい労働力は、雇用することによって手に入れることはできる。しかし、既存社員の能力や「やる気」は外部か
 ら購入できない。育てなければならない。

  中小企業の土台は人(経営者・社員)である。小規模企業においても同様である。
 社員を育成するためには、まず、経営者が率先垂範して魅力的にならなければならない。能力を高めなければなら
 ない。社員は経営者の一挙手一投足を注意深く見守っている。経営者が黙々と努力を続ける姿は、暗黙のうちに社
 員の心を打つ。
  経営者が魅力的になれば自立型社員が増え、社員満足にも波及する。社員満足は顧客満足と連動し、両者はいず
 れ(車の)両輪になって土台づくりの「礎」になる。

  人がその気になれば「土台」は固まる。「企業は人なり」を実践すれば土台は盤石になる。
  「一強企業」になれるか否かは、「人」にかかっている。企業に限らず、あらゆる組織について同じことが言える。
 人を大切にしなければ「九弱」から脱皮できず、明るい未来を目指すことはできない。
  人とは経営者・社員である。

  「企業は人なり」の実践(人の育成)については、改めて述べる。

 

 

 

 

 

 

 

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